ヴァルナ国際バレエコンクールの紹介

2016年 第27回 ヴァルナ国際コンクールの審査員に選出された今村先生に、コンクールに関するさまざまなことについてインタビューさせていただき、海外で活躍するダンサーやバレリーナを目指す子供達に向けてのメッセージをいただきました。

  • 今回のヴァルナ国際バレエコンクールで、特に注目されたダンサーさんはいらっしゃいましたか。
  • 1位になったオペラ座のポール君は最初から他の審査員の先生方からも注目されていましたね、良いダンサーだねという事でね。
    私個人的には、日本の金原さん。あの子が本当にビックリする程、素晴らしい踊りをしたので嬉しかったですね、彼女はまだジュニアで、いまイギリスで勉強していて、すごく良いダンサーだなと、今後がとても楽しみです。
  • プロの方が集まるという独特のヴァルナ国際バレエコンクールですが、目指す人はどの様な目標、心構えを持って出場するのでしょうか。
  • プロのコンクールなので、舞台人としてのアピール度がとても大事です。テクニックだけではありません。
    そこに登場しただけで、床から自分の存在がここにある、みたいなそういう強さが無いと、プロにはなれないです。それが一番感じる事でしたね。
    まだローザンヌとかの子供のコンクールはゆるいです、床にたっている存在が。だけどプロは強いんですよ。その違いですね。
    「テクニック」+「表現する力」という事でしょうね。
  • 審査する基準も、技術はもう相当高い物かと思いますので、表現・アピール度が重要なのでしょうか。
  • そうですね、全て合わせた点数ですからね。
  • それだけレベルが高いと審査もなかなか難しそうです。
  • でも1つのステージで2曲あり、2曲目を踊り終わった時に点数を付けます。
    だから1曲目をちょっとメモをしておいてから2曲目を見たりしますが、1曲見ただけで点数を付けるよりは、随分違いますね。私自身も良い勉強になりました。
  • 違う演目を続けて踊るという事でしょうか。
  • 続けてというか、ちょっと時間はあって30分ぐらい経ってから踊るんですけどね。
  • 続けて2曲での審査というのは、やはり他のコンクールではなかなか無い様ですが。
  • だから、プロのコンクールなんですよ、そう意味では。
    だって全幕踊ったら、2幕踊った後に3幕でグランパドドゥを踊るじゃないですか。それくらいの体力がないと出来ないですね。
  • 表現力も大事との事なので、1曲目から2曲目の切り替えも大事でしょうか。
  • 自分で変えようとしなくても、踊る人って音楽が鳴っていたら音で助けてもらってそれで自然に作り上げて行く物です。
    頭で考えて切替るというよりも、それが自然体で踊れるようにならなきゃダメだよね。
    だからやっぱり音楽を表現する、というのもバレエの場合は大事な事です。
  • 続いての質問になりますが、日本及び他の世界的なコンクールとの違いについてお教えください。
  • これはさっきも申し上げたようにヴァルナはプロのコンクールというか、アマチュアではないという事でしょうね。ローザンヌだとか、アメリカのコンクールには行ったことがありますけど、その中でもヴァルナは最高の物です。 最近はいろいろな国でコンクールが行われますけど、あまりありすぎても困ってしまいますね。
  • 確かに日本のコンクールは数が増えています。
  • 競技じゃないですからね、とにかくバレエは。
    いくらコンクールが増えて点数が上がってもそれは競技じゃない、といつも審査員は言っています。
    だから本当にテクニックばかりやられてもどうしようもないから、表現性とか音楽性とか、ストーリー性とかが出せるようなダンサーが出てきてほしいね、と。そしてバレエのテクニックで難しい事とかいっぱい回ったりする事とかばっかりに目が行く、という事も審査員は気をつけなきゃいけないね、と。それで正しいバレエはこうだよねという事をそれぞれの国で伝えたいですよね、という話も他の審査員の先生方とお話できました。

    ヴァルナの審査員は皆さんそれぞれの国を代表して来ているような方だから、バレエというものをとても大事にしている人たち。そういう方達と話が出来たというのも素晴らしい機会でした。
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